ツアー訪問事業所

大館曲げわっぱ 伝統+DESIGN

株式会社りょうび庵 伝統工芸士 成田 敏美さん
  • 事業内容
    大館曲げわっぱ、秋田杉工芸品の製造・販売

オリジナル製品の追求

 夏の風が気持ちいい、鮮やかな緑を従えた抜群の環境にその工房はある。株式会社りょうび庵は2017年12月設立。伝統工芸である「大館曲げわっぱ」「秋田杉工芸品」の製造・販売を行っている。

 近年、曲げわっぱ人気が熱い。以前よりも若者の本物志向が強くなり、さらにお弁当ブームということもあるだろう。数年前から、各メディアがこぞって「曲げわっぱのお弁当箱」を取り上げた影響もあり、地元秋田よりも都心で曲げわっぱの弁当箱の需要が多くなっている。しかし、あえてりょうび庵では弁当箱以上に秋田杉を使ったオリジナル商品やオーダー品に力を入れている。型通りのものだけではなく、様々なお客様の要望に応えられる商品を生み出す“企画力”がりょうび庵にはある。

工芸品の可能性はまだまだある

 曲げわっぱとは、杉やヒノキの薄板を曲げて作られる円形状の器のこと。明るく美しい木肌と木目、軽くて丈夫で通気性も良い。今ではその製品の秀逸さは日本に留まらず海外にも知れ渡っている。そのような中、なぜりょうび庵では様々なオリジナル商品を生み出すことに力を注いでいるのか。

 理由は、簡単である。秋田伝統工芸品の可能性を広げていくことだ。

 「我々は、伝統工芸品だからといって従来の製品だけに捕らわれることはしたくない。こうしたらどうだろう?こんなものにも向いているのでは?と、常に試行錯誤を繰り返しています。おひつがあるのだから食パン入れがあってもいいし、ワインセラーや花器にも向いている。インテリアやファッションにだって取り入れることは可能です。今まで考えつかなかったジャンルにチャレンジし、曲げわっぱの価値をさらに高めていくことに尽力していきたい。さらにそれがわっぱの裾野を広げる事の一環になれば良いと思っています。」

この仕事に向いている人とは?

 「やる気のある人、情熱のある人!これに尽きます。私は元々営業畑の人間だったのですが、どうしても自分で商品を作りたくて50歳で職人として独立しました。新しいものを作りたい、常に挑戦したいという思いがあれば、それをわが社で叶えて欲しいと思います。もちろん、弁当箱のような型通りのものを作れる技術を身に着けてからですが。なんでも基礎は大切ですから。」

これからを見据えるなら大館がいい

 「東京は疲れるね」とUターン経験者の成田さんは言う。

 「東京にずっといる人は分からないけれど、地方から出ていった自分はキツかったし、水が合わなかった。でも、大館は年を取るごとにいいなと思います。人は優しいし、利便性も悪くない。静かな環境で子育てして、リタイヤしたら自分の好きなことも楽しめる環境なんて最高ですよ。」

「技術を追求することが大事ではない」と成田さん。伝統工芸に携わる立場として考えるのは、次世代に秋田杉工芸品や大館曲げわっぱを継承すること。そのためには、まず自分自身が挑戦し、楽しむ姿を見せることなのだという。「今考えているのは、異業種交流。曲げわっぱと色々な工芸品のコラボです。あとは、いずれ自分のお骨をいれる箱を曲げわっぱで作りたいね(笑)。68歳なんて、ひよっこでしょう。あと10年は好きな事ができるよ。」成田さんの夢を語る姿が本当に生き生きしていて、理想の人生は何歳からでも実現できると思えた。

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